フジスチコンの定格電圧

一時期、その綺麗な見た目に惹かれてスチロールコンデンサ(スチコン、polystyrene capacitor)を集めていた時期がある(もちろん、一部は実際に受信機の製作に使った。熱に弱くて、はんだごてが一瞬、本当に一瞬触れただけで溶けてしまう)。富士通 (Fujitsu)のスチコン(フジスチコン)には定格電圧を示すカラーリングが付いているが、ネット上で詳しい情報が得られなかったため、文献[1]の情報をここにまとめておく。

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青:25V(1E)

黄:50V(1H)

赤:125V(2B)

緑:250V(2E)

黒:500V(2H)

なお、チューブラ型の場合、カラーリングのある側が外側電極である。

 

「片側リード線を接地する場合は外側電極側のリード線を接地するのが望ましい。」

文献[1]のp.79、「7. 使用上の注意事項」の(8)に記されたこの事項は、特にRF回路に使う人は注意したほうがいいだろう。

 

以上でタイトルの内容は回収したが、他にも情報を残しておく。

 

袋から次のような詳しい型番が分かる場合がある。

CQ08S-2B-10000-K02

これは、前から順に次のことを表している。

CQ:品名

・08:形状

 08:標準形

 09:無誘導形

 28:双子標準形(要するに、2個のスチコンをパラレル接続したもの)

 29:双子無誘導形

 など

・S:特性(コンデンサの印字、富士通のマークの横にある記号)

 S:通信機用・放送受信用

 L:低レベル用

・2B:定格電圧

・10000:公称静電容量

・K:静電容量許容差

・02:系列

 01:富士通標準系列高信頼度用

 02:富士通標準系列通信機用

 03:富士通標準系列放送受信機用

 

~用とあるが、経年劣化の具合が違うようである。すなわち、高信頼度用>通信機用>放送受信機用の順で時間が経っても静電容量が変化しにくい。

 

また、静電容量の温度係数は、

-(150±50)x10^-6 /℃

である。

 一方、Qは、

6~30 pF:500~1000

30~330 pF:1000  @1 MHz

である。

 

[1] 富士通株式会社, "3. プラスチックコンデンサ," 富士通電子部品ハンドブック, 第1版, pp.60-79, 1970.